循環型社会・サステナビリティ
2006年から20年続く一貫したコミット。Takeshiの思想・実践を貫く太い軸のひとつ。ソフトウェア開発(XP)と持続可能性のリンクへの気づきを起点に、パーマカルチャー・脱成長・サーキュラーエコノミーへと展開してきた。
一貫した起点(2006〜2007)
2006年:XPと持続可能性のリンクに気づく
2006年のちょうどの頃にXPと持続可能性のリンクに気づいた らしい。その後パーマカルチャーを知って両者の本質的な繋がりに驚愕した。(2021/9/16 Scrapbox / giantech.jp前身ブログ
log.giantech.jpの記録)
発見の順序: XP(先に知っていた) → 持続可能性のリンクに気づく → その後パーマカルチャーを知り、XPがパーマカルチャーにヒントを受けていたことを後から知る → 両者の本質的な繋がり に驚愕。この驚愕が、後に cross-field-principles(分野を超えて共通する原理への関心)へと発展する。
2007年:サステナビリティとの出会い
2007年にサステナビリティという概念に出会い、システム思考・ナチュラルステップ・パーマカルチャーを学び始めた 頃と比べたら、SDGsが数多に広まっている今はキャズム超えたのかなと思わざるを得ない。(2021/10/30)
2007年時点で学んだ3つの体系:
- システム思考 — 全体と部分の相互作用の認識
- ナチュラルステップ(The Natural Step)— 環境持続可能性の原則フレームワーク
- permaculture(パーマカルチャー)— 持続可能なデザイン体系
この時点で既にTakeshiが後年深める全体性クラスターの思想的苗床は揃っていた。さらにパーマカルチャー ↔ XP ↔ パタン・ランゲージの三者が「違う分野で共通のことを実現しようとしている」という気づきが、cross-field-principles の起点になる。
実践の系譜
「小さな循環のサイクル」から始める
パーマカルチャーというと「田舎で自然に囲まれて循環する豊かな生活」というイメージがある。ここからだと最初の一歩が大きすぎる。生ゴミ堆肥をプランターに使う、庭の雑草や剪定くずを堆肥にする、風呂水を水やりに使う、小さな循環のサイクルをはじめ広げていく「いまここ」から始めよう。(2022/9/26 Scrapbox)
→ agile-health-kaizen の「いまここから始める」と同じ発想、felt-state-pattern の段階的変容と同型。
2011〜: パーマカルチャー関西デザインコース
permaculture の体系的学習。以降の全実践の基盤。
2014〜: DIYによる循環実験
- ロケットストーブワークショップ(2014-03-23)── 高燃焼効率ストーブの自作、木質バイオマスの余剰利用
- オフグリッドカフェ@MYJ(2015-05-24)── 電気もガスもない森でのカフェ実験。「エネルギー自給」の実践
- タンポポコーヒーを庭のタンポポから自作(2015-06-08)── 雑草マネジメント × カフェイン断ちの一挙両得
- スタンディングデスクDIY(2014年末〜)── 単管パイプ+杉板で自作、既製品を買わずに自分で作る
2014〜: アクアポニックス実験
金魚飼育と野菜栽培を同じ水で循環させるクローズドシステム。家庭内ミニ循環。→ vegetable-garden
2017〜: 休耕地の活用と畑・水田
- 耕作放棄の畑を借りて野菜作り(2017〜)
- 内子町の耕作放棄水田を復活させ無農薬米作り(2022〜)
- **休耕地を「活用する」**こと自体が、放棄されたリソースを再び循環に組み込む行為 → vegetable-garden
2020: 野菜品種のオープンソース化
- 野菜の品種もオープンソース化しよう!(2020-05-28)
- 野菜品種のオープンソース化の試みについて(2020-05-28)
種子を商品化する資本主義的な閉じた仕組みに対する、公共財(コモンズ)的な循環への問題提起。ソフトウェアのOSSの思想を農業の固定種・在来種に拡張する発想。
2022〜: 人と生物の共生へ
パーマカルチャーは人にとっての有用さ・機能を重視するので生物多様性や在来種の概念が足りないし、ビオトープは人のための生産についての側面が少ないので、両者を組み合わせることが不可欠だという結論に達している。(micro.tkskkd 2024-07-10)
→ biotope-ecosystem-wholeness と vegetable-garden の統合フェーズ。「人のための循環」から「人と他の生きものの共生する循環」へ。
認識論的な深化
物理学から見た持続可能性 ── エントロピー
『持続性の本質 物理学からみた地球の環境』 広瀬立成(★★★★★ 2020年の一冊):
物理学を丁寧に解説してくれているのに加えて E=mc² が持続可能性にどう関係するのかがよくわかり目鱗だった! 第1エンジン、第2エンジンの話は、すべての人が知っておいたほうがいい。 エントロピーの話はよく目にするのだが、「説明」としてしか使ってないよなぁ。負のエントロピーを食べて存在している生物は高まるエントロピーをへらすことで生命を維持しているということなので、これが人工物である場合には個体としても群としてもエントロピーをどう減らしていくかを考えないといけない。
→ wholeness / zoka の「生命とは何か」という認識論的問いと物理学的基盤で接続する。christopher-alexander の「生きた構造」の科学的裏付けの一方向。
脱成長という選択
『なぜ、脱成長なのか 分断・格差・気候変動を乗り越える』(タグ: 脱成長 全体性 新しい生き方)
経済成長を前提としない循環モデルへの関心。teal-organization や E.F.シューマッハー『スモール・イズ・ビューティフル』と接続(teal-organization にシューマッハーへの言及あり)。
サーキュラーエコノミー
『サーキュラー・エコノミー 企業がやるべきSDGs実践の書』 中石和良。企業活動における循環経済の実践論。
バイオネスト ── 現場完結型の循環
樹林地の間伐作業や下刈りで発生する伐採木や下刈り残滓をその場で再利用してつくる、自然の風景と違和感のない堆肥置き場。(バイオネストの解説)
間伐材・下刈り残滓を運び出さずに現場で堆肥化。「Waste is a resource」というパーマカルチャー原則の具現化。生物の生育・繁殖にも寄与する多目的装置。
アジャイル・XPとの同型構造
2006年に気づいた「XP = 持続可能性」のリンクは、後年のTakeshiの全ての統合の核。
| 循環型社会 | XP / アジャイル |
|---|---|
| エネルギー・物質の循環 | コードの循環(リファクタリング) |
| 「Waste is a resource」 | 「Waste is a problem」 → XPの無駄排除 |
| 小さな循環から始める | スモールリリース・インクリメンタル |
| 局所最適ではなく系全体の健全性 | チーム・プロダクト・顧客・人生の調和 |
| 持続可能なペース | Sustainable Pace(XP原則) |
| エントロピー減少の努力 | 構造保存変容 / 生命の強度維持 |
→ xp の「XP = Balanced Programming」「XP = Harmony」「XP = 持続可能性」再解釈はまさにこの認識の結晶。
note記事
- 持続可能(パーマカルチャー)で変化に適応し価値提供し続け(アジャイル)群と個…(2019-02-15)── パーマカルチャー×アジャイル×群と個の接続論
関連書籍
- 『持続性の本質 物理学からみた地球の環境』 広瀬立成(★★★★★ 2020年の一冊)
- 『なぜ、脱成長なのか』ヨルゴス・カリス他(斎藤幸平解説)
- 『サーキュラー・エコノミー 企業がやるべきSDGs実践の書』中石和良
- 『SXの時代 ~究極の生き残り戦略としてのサステナビリティ経営』
- 『持続可能な資本主義』新井和宏
- 『SDGs〈持続可能な開発目標〉』蟹江憲史
- 『里山に生きる家族と集落: こころと絆、持続可能な暮らし』養父志乃夫
- permaculture 系: 『パーマカルチャー菜園入門』★★★★★、『パーマカルチャー―農的暮らしの永久デザイン』★★★★★
関連ページ
- permaculture — 思想的基盤。2011年のデザインコースが実践の起点
- vegetable-garden — 野菜作り・畑:循環の日常的実践
- biotope-ecosystem-wholeness — 人以外の生物との共生を含めた循環へ
- xp — 2006年に気づいた「XP = 持続可能性」のリンク
- agile — Sustainable Paceという原則
- agile-health-kaizen — 「いまここから始める小さなサイクル」の身体実践版
- wholeness — 全体性:循環の認識論的基盤
- zoka — 造化:エントロピーと生命、構造保存変容
- teal-organization — 脱成長・スモール・イズ・ビューティフルとの接続
- interests-timeline — 2006年・2007年の起点が全関心の源泉
- src-giantech-blog — ロケットストーブ・オフグリッドカフェ・タンポポの実践記事
- src-note-kkd — 野菜品種オープンソース化・持続可能アジャイル論