アジャイルマニフェスト
2001年にスノーバード(ユタ州)に集まった17名のソフトウェア開発者が作成した宣言。4つの価値と12の原則からなる。agile の思想的出発点。
Takeshiの解釈
マニフェストはパターンランゲージの素
Agile Manifestoや原則は、スノーバードに集まった人たちの経験や方法論を元にパターンマイニング&ライティングした成果物、つまりパターンランゲージ(の素)と捉えたほうがいい気がする。それを各自の現場でプロジェクトランゲージとして応用し積み上げていく。少しづつ、少しづつ。 — tkskkd.com 2021/02/17
マニフェストを「規則」や「定義」として受け取るのではなく、実践者たちの経験から抽出されたパターンとして読む——この視点は パタン・ランゲージ のアプローチと同型。各現場でそれをプロジェクトランゲージとして応用・積み上げることが本来の使い方ではないか?という問いかけ。
渇望から生まれた宣言
「意味・価値のある仕事」への渇望の先にアジャイルマニフェストがあった。今の時代は何を渇望しているのだろう?ここは世代の象徴的なものがあるはず。20−30代の人がその答えを持っているのではないかな。 — tkskkd.com 2025/11/21
マニフェストは「技術卓越だけでは到達しない、作ったものが誰かの役に立つ・ムダにならない」という渇望から生まれた。コンテキストが変わった現代——その渇望が何になっているか、次世代が問いを引き継ぐ。
Takeshiのアジャイルマニフェスト関連の活動
スライド「アジャイルマニフェストの これまでと、これから」(XP祭り2023)
アジャイルマニフェストの これまでと、これから(2023-09-30、副題「〜『生き生きした世界』を生み出すために必要なこと〜」)
アジャイルマニフェストの歴史的経緯と今後を調査・研究・発表した登壇。XP祭り2023(XPJUG主催)での発表。このセッションでは「人間中心から人間理解のパラダイムへ」も主題として提示した(→ human-understanding)。
マニフェストの本質(このスライドでの整理)
マニフェストの中身よりも、それが生まれた経緯にこそ本質があるという仮説:
- マニフェストから生まれたマニフェスト ── 望ましい結果を明記したアジェンダからではなく、協調的・自己組織的な環境から生まれた
- 違いよりも、共通点を見出す(スティーブ・メラーが提唱した「寛大な傾聴」)
- 手段よりも、意図・ニーズを見つめる
- 「する」ことではなく「意思決定基準」を提供した ── 何をするかは現場の人がマインドセットを元に意思決定する。考えることを放棄しない
- 含んで超える(成人発達理論)── 過去の発達段階の肯定面を含みながら、その限界を乗り越える=選択肢が増える
既存の改訂案レビュー
スライドでは過去の改訂提案を3つ紹介している:
- Kent Beck (2010) ── チームビジョンと規律 / 検証された学習 / 顧客の発見 / 変化を起こす(新規事業の文脈)
- Majkic (2023) ── 顧客中心主義 / 実用的洞察 / ステークホルダー協力 / 変化と不確実性の受容 / 多様性・公平性・包括性 / 持続可能性(組織・製品開発視点)
- Agile2 (2020) ── 思慮深さと処方箋 / 成果と成果物 / 個人とチーム / ビジネス理解と技術理解 / 個人エンパワーメントと優れたリーダーシップ / 適応性と計画性(「すべてを大切にしバランスをとる」)
変化点を整理すると:(1) 受託開発からプロダクト開発寄りへ、(2) ひとつのチーム作業から大規模・組織的へ、(3) 持続可能性・多様性などの新しい価値観への対応へ。
生き生きマニフェスト(案)
スライドの結論部で Takeshi が提示した、アジャイルマニフェスト 22 年後の更新案。
個人と相互作用より、多様性と人への共感
動くソフトウェアより、満たされた・満たしたいニーズ
顧客との協調より、関係者の巻き込みと共創
変化に対応するより、願っている未来の創造
「生き生きとした世界」を生み出すための4つの価値。原典を否定するのではなく 含んで超える 入れ子構造として位置づけられる。
各項目の詳細な意図・「自分への問いとして読む」セクションを含む完全版は iki-iki-manifesto へ。
Medium「Visual Agile Manifesto 日本語版」(2018)
Visual Agile Manifesto 日本語版(2018-05-16)
Lynne Cazary氏の『The Visual Agile Manifesto』の日本語紹介記事。マニフェストを視覚的に再解釈した試みへの関心。
アジャイルカラダ開発宣言(2019年)
同人誌『アジャイルカラダ開発』では、身体・健康をシステムとみたてて「アジャイル宣言風にまとめている」(→ agile-health-kaizen)。マニフェストのフォーマットを別ドメインに移植した初期の試み。
マニフェストと価値・原則・実践の3層
アジャイルマニフェストは**価値(4つ)→ 原則(12)→ プラクティス(各手法)**という3層構造の典型例。XP も同じ構造(価値5・原則14・プラクティス24)を持つ。この3層フレームは パーマカルチャー や agile-health-kaizen にも共通する(→ values-principles-practices)。
関連ページ
- iki-iki-manifesto — 生き生きマニフェスト:XP祭り2023 提唱の更新案。各項目の詳細・自分への問いとして読むセクション
- agile — アジャイル全般:Takeshiが「通り過ぎた」フェーズとして位置づける
- xp — eXtreme Programming:マニフェストより先に実践として影響を受けた
- christopher-alexander — パタン・ランゲージ:マニフェストをパターンとして読む視座
- values-principles-practices — 価値・原則・実践の3層:マニフェストの構造的位置づけ
- human-understanding — 人間理解:XP祭り2023で同時に提示されたパラダイム
- agile-health-kaizen — アジャイル式健康カイゼン:マニフェストフォーマットの応用
- ga-shu-ha-ri — 我守破離:マニフェストをどう「守」として扱うか
- japan-agile-history — 日本アジャイル昔ばなし:22年の歩みの文脈