U理論(Theory U)

オットー・シャーマー(C. Otto Scharmer)が提唱した変革・学習の理論。「過去の習慣や前提からではなく、出現しつつある未来から行動する」ことを核心とする。

Uの構造

Downloading(過去パターンの再生)
    ↓ Seeing(新鮮に見る)
    ↓ Sensing(全体とともに感じる)
    ↓ Presencing(源泉に触れる)
    ↑ Crystallizing(未来のビジョンを結晶化)
    ↑ Prototyping(実践して学ぶ)
    ↑ Performing(具現化)

Presencing = “presence” + “sensing” の造語。過去の慣性を手放し、出現しつつある可能性の場に参与する状態。

思想的系譜

シュタイナーの影響が直接的:
シャーマーはルドルフ・シュタイナーの認識論(観察者が観察対象と分断されていない認識)をU理論の哲学的基盤に置いている。「最近シュタイナーづいてたんだが、U理論もシュタイナーの影響受けてるのを初めて知った」(Scrapbox記録)。

アレグザンダーを参考文献に明示:
U理論の参考文献にはアレグザンダーの著作が含まれる:

  • “A Timeless Way of Building”
  • “A Pattern Language”
  • “The Nature of Order Vol.4 (The Luminous Ground)”

Vol.4のみという選書は、単なる建築理論としてではなく「全体性・生命・源泉」への言及として読んでいることを示している。

このwikiへの位置づけ

シュタイナー → ゲーテ → ボルフト(哲学)
     ↓                        ↓
  U理論 ←────────── アレグザンダー(実践)
(Presencing = conscious participation の組織論版)

U理論の「Presencing(源泉に触れる)」は、ボルフトの「conscious participation(意識的参与)」と同型の認識状態を指している。ボルフトが個人の知覚・認識について論じているのに対し、U理論はそれを組織・集団の変革プロセスに展開した。

Scrapbox記録

  • 「今なら『U理論』を読んだら出版当時よりわかる気がする」(2021/10)
  • 「ぱらっとめくった感じだとU理論(初版)当時より理解できる感じがした。『ザ・メンタルモデル』学んでいるからそっちと繋げてだいぶ理解が進むのだろう」(2021/10)
  • 翻訳者:中土井僚・由佐美加子(由佐美加子はmental-modelの著者でもある)

関連ページ

  • christopher-alexander — U理論の参考文献に明示されている
  • henri-bortoft — Presencingとconscious participationの同型性
  • michael-polanyi — 暗黙知・from-to構造がU理論の認識論的背景
  • goethe — シュタイナー経由でゲーテ的観察法と接続
  • mental-model — 訳者(由佐美加子)が同じ。「メンタルモデル」は「Downloading」状態を脱する実践として接続
  • nonaka-ikujiro — 組織における知識創造という共通テーマ
  • felt-state-pattern — FSP:Downloading状態の集合的メカニズムをFSPが記述する
  • organization-development — 組織開発:学習する組織・心理的安全性・ティールとの接続