脳の大統一理論 自由エネルギー原理とはなにか
種別: 書籍
著者: 乾 敏郎(いぬい としろう)
出版: 岩波科学ライブラリー
URL: Amazon
要約
Karl Friston の自由エネルギー原理(FEP)を日本語で解説した入門書。脳が予測誤差を最小化することで知覚・行動・学習を統一的に説明するフレームワークを、数学的背景を保ちつつ平易に解説する。マルコフブランケット・能動的推論・階層的予測符号化を網羅。
主要なポイント
- 脳は外部状態の物理的変化を「非物質的な確率的信念の(自由エネルギー)関数の変化」として捉える
- マルコフブランケット(感覚状態・運動状態)を仲介として、世界(外部状態)から自己(内部状態)を分離し、自律的推論が可能になる
- この構造は単一細胞(細胞膜 = 感覚状態、アクチンフィラメント = 運動状態)から多階層神経系まで普遍的に見られる
- 高次階層から低次階層への予測が運動状態に、低次から高次への予測誤差が感覚状態に対応し、多重のマルコフブランケット構造として理解できる
- マルコフブランケットにより内部状態と外部状態のあいだに「ある種の独立性」が保証される——環境とエネルギー交換しながら環境から独立した自己を形成できる
引用・メモ
「世界、すなわち外部状態の物理的変化は、脳の中では非物質的な確率的信念の(自由エネルギー)関数の変化として捉えられるが、感覚状態と運動状態というマルコフブランケットを仲介とすることによって、世界(外部状態)から自分自身(内部状態)を分離し、自分の中で現実とは異なる世界の状態について「自律的」に推論できるようになる。これによって、環境とエネルギーの交換をしながら、環境とは独立した自己を形成することが可能となる。」
関連ページ
- free-energy-principle — 自由エネルギー原理:本書の核心内容
- hyperprior — 超事前分布:本書に基づく「非物質的確率的信念関数」の理解